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大阪家庭裁判所 昭和33年(家)4359号 審判 1958年8月20日

○○○○児童相談所長

申立人 小林修(仮名)

(本籍 朝鮮 住所 大阪市)

事件本人 呉文洛(仮名)

主文

申立人が

本籍並びに住所 事件本人に同じ

(1)  呉正子

昭和一九年一二月○○日生

(2)  呉直子

昭和二三年一二月○○日生

(3)  呉鐘三

昭和二五年一一月○○日生

(4)  呉鐘用

昭和三一年一月○○日生

について児童福祉法第二七条第一項第三号の措置をとることを承認する。

理由

事件本人に対する審問の結果、当庁調査官の調査の結果及び当庁昭和三三年(家イ)第四九五号離婚調停事件(申立人金玉順、相手方呉文洛)における当庁調査官の調査報告書の記載、当裁判所に顕著である同調停の経過を綜合すると、事件本人はその妻金玉順との間に主文記載の(1)乃至(4)の四児をもうけているが(1)事件本人は性格粗暴で嫉妬心が強く平素妻金玉順に対し例えば頭髪を掴み階段から引ずり降ろし殴る蹴る等の暴行を加え負傷させるようなことを繰返えすのでそのため上記四児も極度に父親を畏怖嫌忌していること(2)事件本人は昭和三二年一一月頃から昭和三三年二月頃までの間約一〇回に亘り長女正子を自宅で姦淫し破倫の行為があつたこと(3)妻金玉順は昭和三三年三月事件本人の暴力に堪えず窮境を脱しようとして上記四児を伴い家出し同年三月○○日当庁に離婚調停を申立て(当庁昭和三三年(家イ)第四九五号離婚調停事件)調停進行中事件本人の二度と暴力行為に出ないという固い誓約の下に一亘帰宅したが事件本人の暴力的態度は改らないので再び上記四児を伴い家出するに至つたこと(4)事件本人は申立人が上記四児について児童福祉法第二七条第一項第三号の措置をとることに同意していないことが認められる。そして以上認定事実は児童福祉法第二八条第一項第一号に該当するものと認められるから申立人の本件申立を正当として認容し主文の通り審判する。

(家事審判官 相賀照之)

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